「英語力があるなら翻訳で稼げるんじゃない?」と友人に言われたのが2年前。当時のTOEICは820点。ネイティブには程遠いが、ビジネス英語の読み書きはそれなりにできる。そんなレベルで本当に翻訳で稼げるのか、半信半疑で始めてみた。
結論から言うと、月5万円に到達するまで8ヶ月かかった。最初の3ヶ月はクラウドソーシングで文字単価3円の案件をこなしていたが、時給換算すると800円以下。正直、コンビニバイトのほうが稼げると何度も思った。
でも実務翻訳の分野を絞り、直接クライアントを開拓してからは世界が変わった。今は月8〜12万円を安定して稼いでいる。2026年4月時点の翻訳副業のリアルをお伝えする。
翻訳副業の種類と単価相場
まず「翻訳」と一口に言っても、分野によって単価が全然違う。
| 分野 | 英→日の単価(1ワード) | 難易度 | 必要スキル | 案件数 |
|---|---|---|---|---|
| 一般文書 | 5〜8円 | ★☆☆ | TOEIC700以上 | 多い |
| IT・テクノロジー | 8〜15円 | ★★☆ | IT知識+TOEIC800以上 | 多い |
| 医療・製薬 | 12〜20円 | ★★★★ | 医学知識+専門用語 | 中程度 |
| 金融・法務 | 10〜18円 | ★★★ | 金融/法律知識 | 中程度 |
| ゲーム・エンタメ | 6〜12円 | ★★☆ | カルチャー理解 | 増加中 |
| マーケティング | 8〜15円 | ★★☆ | マーケ知識 | 増加中 |
僕はIT翻訳を選んだ。理由は3つ。前職がIT企業だったこと、案件数が多いこと、単価がそこそこ高いこと。1ワード10円の案件なら、3,000ワードの文書で30,000円。1日4〜5時間で仕上げられれば時給6,000〜7,500円になる。
AI翻訳の台頭——翻訳者はもう不要?
「DeepLがあるのに翻訳者って必要なの?」という疑問は当然出てくる。結論から言うと、必要。ただし求められる役割は変わっている。
2026年時点で、一般文書の翻訳はDeepLで8割カバーできる。だから「ただ訳すだけ」の仕事は確実に減っている。今求められているのは「ポストエディット」——AIの翻訳結果を人間がチェック・修正する作業と、AIでは対応しにくい「ローカライゼーション」(現地の文化に合わせた翻訳)だ。
僕の案件の約40%はポストエディット。AIの下訳をベースに、不自然な表現や業界固有の言い回しを修正する。ゼロから翻訳するより速いが、AIの間違いを見抜く力が必要なので、ある意味ゼロ翻訳より難しい場面もある。
翻訳副業の始め方——4ステップ
ステップ1: 翻訳スキルを証明する手段を作る
TOEIC 800点は「英語力の証明」にはなるが「翻訳力の証明」にはならない。翻訳力を証明するには以下のいずれか:
- 翻訳検定(JTF/JTA): 業界で認知度が高い。3級なら合格率40%程度
- トライアル翻訳: クラウドソーシングの案件を5件こなして実績を作る
- ポートフォリオ: 自分で翻訳したサンプルを3〜5本用意する
僕はトライアル翻訳ルートで始めた。最初の5件は赤字覚悟で低単価(1ワード3〜5円)の案件を受け、★5のレビューを集めることに集中した。
ステップ2: クラウドソーシングで実績を積む
| プラットフォーム | 翻訳案件数 | 手数料 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| ランサーズ | 月200〜300件 | 16.5% | 認定ランサー制度あり |
| クラウドワークス | 月300〜500件 | 5〜20% | 案件数最多 |
| Gengo | 常時あり | 固定単価制 | 翻訳特化プラットフォーム |
| Conyac | 常時あり | 20% | 短文翻訳が多い |
僕はランサーズとGengoの併用からスタート。Gengoは単価が固定(1ワード約5〜8円)で、初心者でもテストに合格すれば案件が自動で割り振られる。月15,000〜20,000円程度だったが、実績作りには最適だった。
ステップ3: 分野を絞って専門性を高める
3ヶ月ほど幅広い案件をこなした後、IT翻訳に絞った。SaaS企業のヘルプドキュメント、API仕様書、リリースノートなどの翻訳が中心。前職の知識が直接活きるので、一般翻訳者より速く正確に訳せる。
この「前職の専門性×翻訳」の掛け合わせが単価アップの最大のレバレッジ。元看護師なら医療翻訳、元銀行員なら金融翻訳。自分の業界知識を武器にするのが最短ルートだ。
ステップ4: 直接クライアントを開拓する
クラウドソーシング経由だと手数料16〜20%が引かれる。直接クライアントを見つければ、同じ仕事で20%収入が増える。
僕が直接クライアントを獲得した方法:
– LinkedIn: 英語のプロフィールを作り、「Japanese Translator | IT Localization」と明記。3ヶ月で2社からスカウトが来た
– 翻訳者ディレクトリ: ProZやTranslatorsCafe.comに登録。海外の翻訳会社からのオファーが月1〜2件来る
– 既存クライアントからの紹介: 良い仕事をしていれば、クライアントが別の案件を紹介してくれる
僕の収益推移
| 時期 | 月収 | 主な案件 | 時給換算 |
|---|---|---|---|
| 1〜3ヶ月目 | 15,000円 | CW/ランサーズの低単価案件 | 約800円 |
| 4〜6ヶ月目 | 32,000円 | Gengo+ランサーズ(IT系に絞り始め) | 約1,800円 |
| 7〜8ヶ月目 | 52,000円 | 直接クライアント1社獲得 | 約3,200円 |
| 9〜12ヶ月目 | 85,000円 | 直接クライアント2社+ランサーズ | 約4,500円 |
| 13ヶ月目〜 | 100,000〜120,000円 | 直接クライアント3社 | 約5,500円 |
よくある失敗パターン
失敗1: AI翻訳をそのまま納品する。 バレる。DeepLの出力にはパターンがあり、プロのチェッカーは一瞬で見抜く。AIを「下訳」として使うのはOKだが、そのまま納品は信用を失う。
失敗2: 納期を短く見積もりすぎる。 「3,000ワードなら3時間で終わるだろう」と思ったら、専門用語の調査に2時間追加でかかった。初めてのジャンルは見積もりの1.5倍の時間を確保すべき。
失敗3: 安い案件を受け続ける。 1ワード3円の案件を100件こなしても、単価は上がらない。実績が10件溜まったら、5円以上の案件にシフトすること。
まとめ
翻訳副業はTOEIC800点レベルから始められるが、「ただ英語ができる」だけでは月5万円に到達するのに時間がかかる。最短ルートは「前職の専門性×翻訳」で分野を絞り、直接クライアントを開拓すること。AI翻訳の台頭で「ただ訳すだけ」の仕事は減っているが、ポストエディットやローカライゼーションの需要は増えている。





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